シイタケ菌糸体研究会

癌と免疫について、基本的なことから最新の考え方までを、簡単に説明します。



⇒癌と免疫の関係は、細胞と細胞のたたかいです。

下図のように、癌も免疫力も一つ一つの細胞で構成されています。

免疫細胞にはいろいろ種類がありますが、癌を直接攻撃する免疫細胞として、
CTL(シーティーエル)細胞やNK(エヌケー)細胞が良く知られています。

がん細胞は、下図のように、これらの免疫細胞よりも大きいことが多いです。


※専門的にはサイトカイン、抗体や多様なファクターも関係しますが、ここでは
最も単純な構図として、細胞v.s.細胞という構図で説明しています(以下同じ)。





⇒免疫細胞は、癌細胞を直接殺します。

下図のように、大きい癌細胞に免疫細胞がとりついて、癌細胞を殺してくれます。




⇒癌が大きいほど、免疫細胞は数的に不利になります。


上の説明のように、癌細胞を殺すには、免疫細胞が癌細胞に接触しないといけません。

しかし、癌は癌細胞が密集してかたまっているため、免疫細胞は癌の表面にたどり着くことができても、
癌が大きくなるほど、癌の内部の癌細胞にたどり着くのは難しくなります。

逆に、手術で癌をほぼ取りきり、あとは検査でわからないほどの微小な癌があるかないか、という状況では、
免疫細胞は数的に有利になる可能性が高くなるので、このときの免疫力維持は大切と考えられます。




(補足)
がん細胞の直径を一般的な「約100分の1ミリ」と仮定すると、直径1cmの癌は、
10億個の癌細胞が集まってできていることになります。
微小な直径1mmの癌なら100万個の癌細胞が集まっていることになります。
一方、癌を攻撃するCTL細胞やNK細胞などの免疫細胞はリンパ球と総称されますが、
リンパ球が一般的なレベルで、血液1mlに200万個あると仮定すると、
体重60kgの方で100億個前後のリンパ球が全身の血液を流れていることになります。
このうち、実際に癌を攻撃してくれるリンパ球はぐっと少なくなってしまい、
仮にそのうちの10%(現実はもっと少ないです)なら10億個ということになります。
すると、直径1cmの癌ならがん細胞とやっと同じ(10億個vs10億個)ですし、
直径1mmの癌ならがん細胞の1000倍(100万個vs10億個)となります。
このように、癌が大きいほど免疫細胞は数的に不利になっていきます。
ただし、私たちの免疫は、一旦活性の強い免疫細胞ができれば、
それと全く同じ免疫細胞を体内でたくさん作り続ける仕組みを持っているので、
数の不利を克服できる場合もあります。最近研究が進んでいるペプチドワクチン療法は、
この仕組みを応用した治療方法です。


⇒免疫療法は、免疫細胞の数的な不利を克服しようとする療法です。


免疫療法は病院で行うものや、天然の免疫活性化成分を摂取するなど、方法は様々ですが、
基本的には、CTL細胞やNK細胞などの、癌細胞を攻撃する免疫細胞を増やそうという療法です。

現在の技術でも、免疫細胞をある程度増やすことはできるようになっているため、癌の大きさによっては
癌に対する数的な不利は克服することができると言えます。

しかし、癌が大きくなればなるほど、免疫療法と言えども、癌に対する数的な不利を克服するのは難しくなります。


(補足)
免疫細胞の数を増やすとは言っても、あらゆる免疫細胞を増やすわけではありません。
癌細胞だけを強く攻撃してくれるCTL細胞やNK細胞などの一部の免疫細胞だけを増やす療法です。


⇒免疫細胞の数的な不利を克服するだけでは、十分とはいえません。

実は、癌の内部で”免疫抑制細胞”というものが増えていることが最近の研究でわかってきました。
※実際には、免疫抑制サイトカイン、Treg細胞や免疫抑制因子など多様なファクターが関係して
免疫抑制状態に陥りますが、ここではこれらを総称して免疫抑制細胞を使った構図として説明しています。


免疫抑制細胞は、健康な人も持っているもので、普段はアレルギーや自己免疫疾患などの
過剰な免疫反応を抑えてくれています。

しかし、癌になって、この免疫抑制細胞が異常に増えてしまうと、癌を攻撃する免疫細胞が
無力化されてしまいます。

そのため、免疫細胞を増やして数的不利を克服できても、免疫抑制細胞があると、
免疫細胞は癌細胞を攻撃できません。

つまり、免疫で癌に立ち向かうためには、まずは免疫抑制細胞を減らすことが大切となります。

そうすれば、もともとある免疫細胞が正常に働いてくれますし、
免疫療法で免疫細胞を増やした場合には、その効果が出やすくなります





⇒理想的な状態

免疫抑制細胞も少なく、免疫細胞が癌細胞に対して数的に有利な状況と考えられます。







(補足)
ここまで、わかりやすくするために「数」の話を中心に説明してきました。
そのため、「免疫細胞をとにかく増やせばよい」という誤解を招いたかもしれませんが、
あくまで、いろいろある免疫細胞の中で、「癌細胞を攻撃してくれる免疫細胞」を増やすことと、
それを抑える免疫抑制細胞を少なくすることが大切になります。



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